相続分とは
相続分とは、各相続人が取得することができる相続財産に対する割合のことをいいます。
遺言で各相続人の相続分が指定されている場合には、遺言にしたがって決定されますが、遺言の指定がない場合は、民法の規定にしたがい決定されることになります。
前者の場合を指定相続分、後者の場合を法定相続分といいます。皆さんが「相続分」としてイメージされるのは、「法定相続分」です。
目次
法定相続分
- 遺言で相続分の指定がない場合、各相続人の相続分は、民法の規定にしたがい決定されることになります。法定相続分については、相続人の組み合わせにより、以下のとおりとなります。なお、昭和55年12月31日以前に発生した相続については相続分が異なりますので、注意が必要です。
- 相続人が、配偶者だけ、子だけ、直系尊属だけ、兄弟姉妹だけの場合、法定相続分は全部になります。
- 子、直系尊属、兄弟姉妹について、同一順位の者が複数いる場合、各相続人には上記の相続分をその人数で割った割合について、相続分が認められることになります。例えば、配偶者と子が相続人で、子が3人いる場合、子の各相続分は、1/2÷3=1/6となります。
- 同じ「兄弟姉妹」でも、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は父母の両方を同じくする兄弟姉妹の相続分の1/2になります。
- 被相続人の孫が代襲相続する場合の相続分は、被相続人の子が受けるはずであった相続分になります。
なお、婚外子(=非嫡出子/婚姻関係にない男女間に生まれた子)の相続分を嫡出子の相続分の1/2とする規定について違憲判断(最高裁決定H25.9.4)が出されましたが、すべての相続について適用されるわけでなく、事案によって婚外子の相続分が異なってくるため、詳細は以下をご参照ください。
指定相続分
- 被相続人は、遺言で、各相続人の相続分を自由に指定することができます。ただし、完全に自由というわけではなく、遺留分の問題が生じる可能性がありますのでご留意ください。相続分の指定がなされた場合、各相続人の相続分は、遺言の指定にしたがって決定されることになります。
- 共同相続人の一部についてのみ相続分の指定がなされている場合、他の共同相続人の相続分は法定相続分による(902条2項)とされていますが、その意味内容については、以下のとおり場合を分けて考える必要があります。
相続分の指定がされていない相続人に配偶者が含まれていない場合
- 指定された相続分以外の部分を、他の共同相続人が、指定相続分を受けた相続人が存在しないと仮定して算出した法定相続分の割合(以下「修正法定相続分割合」といいます。)で配分することになります。
- 例えば、被相続人に子A・B・Cの3名がいる場合で、被相続人が子Aに1/2の相続分の指定をしていた場合、子ABCの相続分は以下のとおりとなります。
- 子A=指定された相続分である1/2
- 子B・C=残部である1/2(=1-1/2)×修正法定相続分割合(各1/2)=各1/4
相続分の指定がされていない相続人に配偶者が含まれている場合
- 以下の2つの考え方があります(1の方が有力か)
1配偶者の法定相続分に影響は与えず、配偶者の法定相続分と指定された相続分を除いた残部を、他の共同相続人が、指定相続分を受けた相続人及び配偶者が存在しないと仮定して算出した法定相続分の割合(以下「修正法定相続分割合①」といいます。)で取得するとする考え方
2指定相続分を除いた残部を、配偶者を含めた他の共同相続人が、指定相続分を受けた相続人が存在しないと仮定して算出した法定相続分の割合(以下「修正法定相続分割合②」といいます。)で取得するとする考え方
- 例えば、被相続人に妻A、子B・C・Dがいる場合で、被相続人が子Bに1/3の相続分の指定をしていた場合。
1の考え方によれば、各人の相続は以下のとおりとなります
- 妻A:配偶者の法定相続分には影響しないため、法定相続分である1/2
- 子B:指定相続分である1/3
- 子C・D:残部である1/6(=1-1/2-1/3)×CDの修正法定相続分割合①(各1/2)=各1/6
2の考え方によれば、各人の相続は以下のとおりとなります
- 子B:指定相続分たる1/3
- 妻A:残部(2/3)×Aの修正法定相続分割合②(1/2)=1/3
- 子C・D:残部(2/3)×BCの修正法定相続分割合②(各1/4)=各1/6
代表弁護士の新井教正(あらいのりまさ)と申します。
リーガルサービスの提供を通じてお客様を笑顔にしたいとの思いから事務所名を「エミナス法律事務所」(笑みを為す)としました。
お客様を笑顔にするためには、出来るかぎりご希望に沿ったベストな解決を図る必要があります。
ご希望に沿ったベストな解決を図るためには、お客様のお話をじっくりと丁寧にお聞きすることが何より大切です。
そのため、当事務所では、十分なお時間を取り、まずは、お客様が抱いておられるご不安や紛争の解決方法に関するご希望を正確に理解するよう努めています。
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