内縁(=事実婚)の配偶者(夫あるいは妻)に相続権は認められますか。
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内縁の配偶者に相続権は認められていません。
また、内縁の配偶者に相続権がないとしても、死別により内縁関係が消滅したとして、財産分与の規定を類推適用して内縁配偶者を救済できないかが問題とされましたが、最高裁(H12.3.10)はこれも否定しています。
ただ、相続人が誰もいない場合、一定の手続き(詳細はこちら)を踏む必要はありますが、特別縁故者として遺産の全部または一部を取得できる可能性はあります。
その他のよくあるご質問
- 死後認知を受けた子に相続権は認められるのでしょうか?認められる場合、遺産を取得するためにはどうすればよいのでしょうか?
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認知者(父親)の死亡後であっても、死後3年以内であれば認知の訴えを提起することができ(民787条)、認知の訴えが認められれば、認知の効力は出生時に遡るとされている(民784条)ため、被認知者たる子にも相続権が認められることになります。
したがって、死後認知があった時点で遺産分割が完了していなければ、共同相続人として遺産分割に参加することができ、これにより、遺産を取得することができます。
これに対し、死後認知があった時点で遺産分割が完了している場合、遺産分割のやり直しを主張することはできず、他の共同相続人に対し、価格のみによる支払の請求、すなわち、被認知者の相続分に相当する額の金銭の支払いのみを請求することができます(民910条)。
なお、価格の計算については請求時の時価が基準とされ、また、死後認知があった時点から5年で時効消滅すると解されています(民884条)。
- 養子は実親あるいは養親いずれの相続人になるのでしょうか
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養子は、養親の相続人はもちろんのこと、実親の相続人にもなれ、両方について相続権を有することになります。養子に行ったからといって、実親との関係が切れるわけではないからです。
ただし、特別養子は、養子縁組後は実親との関係が切れてしまうため、実親の相続人にはなれません(民817条の9)。
- 胎児の出生前に遺産分割を行うことは可能でしょうか?
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胎児にも相続権が認められています(民886条)が、判例・通説は、あくまでも胎児が無事に生まれてくることを停止条件として、相続開始時に遡って相続権が認められるとの考え(停止条件説)に立っています。
したがいまして、出生前の段階では胎児は相続人ではないため、胎児を加えて遺産分割を行うことはできません。
他方で、胎児も無事に生まれてくれば相続開始時に遡って相続権が認められるため、胎児の出生前に胎児を除いて行った遺産分割は、相続人の一部を欠くものとして無効になります。
よって、遺産分割は、胎児の出生あるいは死産が明らかになった以降に行うべきと考えます。
- 妊娠中に夫が事故で死亡しましたが、お腹にいる子供(胎児)は夫の相続人になれますか?
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胎児も無事に生まれてくれば相続人になれます(民886条)。
- 私には、妻と子供が2人(長男・長女)いますが、私は長年にわたって長男から暴力を振るわれており、長男には私の遺産を相続させたくありません。長男の相続権を剥奪する方法はありますか。
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①当該相続人が被相続人に対して虐待をした場合、②当該相続人が被相続人に対して重大な侮辱を加えた場合、③当該相続人に、その他の著しい非行があったとき、被相続人は家庭裁判所に対し排除の請求を請求することができ、廃除が認められた場合、当該相続人は相続権を失うことになります。
よって、本件でも、長男の廃除を請求し、廃除が認められた場合には、長男の相続権を剥奪することが可能です。
廃除の意思表示は遺言によって行うことも可能であり、この場合は、遺言者の死後、遺言執行者が家庭裁判所に対し廃除の請求を行い、廃除が認められた場合、長男の相続権が剥奪されることになります。
相続人の廃除の詳細についてはこちらをご参照下さい。