父親が死亡し、遺産分割協議を行いたいが、弟が行方不明のため、遺産分割協議を行えないとのことで相談に来られました。
弟とは、4年前の母親の葬式以来、音信が途絶えているとのことでした。
相続人の中に行方不明者がいる事案
- 性別:男性
- 依頼者情報:●争点別:遺産分割 ●遺産額:3000万円以下 ●遺産の種類:自宅不動産、預貯金 ●相続人の関係:兄弟
まず、本当に弟が行方不明か否かを確認するため、住民票上の住所への訪問、近隣への聞き込み、別れた妻及び妻が引き取った子からの事情聴取、兄が把握している携帯電話番号への架電、携帯電話会社へ当該携帯電話番号での登録の有無の確認などを行いました。
その結果、弟が行方不明であることは事実であることが確認できたため、上記の調査結果を証拠として、家庭裁判所に対して不在者財産管理人選任の申立てを行いました。
無事に不在者財産管理人が選任されたため、同人との間で、法定相続分に応じて遺産を取得する内容の遺産分割協議を成立させることができました。
相続人の中に行方不明者がいるという事案は、実は意外に多く見受けられます。
遺産分割協議は、相続人全員が参加して行われる必要があるため、そのままでは、遺産分割協議を行うことはできません。
このような場合の対応策としては、
①不在者財産管理人の選任と
②失踪宣告(戦争などの特殊な場合を除き、7年以上、生死不明の状態であることが必要)の2つがありますが、
本件では、4年前の母親の葬式で会っているとのことでしたので、②は利用できず、①を利用することにしました。
①を利用する場合、単に行方不明であると主張するだけでは足りず、可能な限りの調査を行い、それらの結果を証拠として提出することで、裁判所に、確かに行方不明であることを納得してもらう必要があります。
調査には、専門的な知識やノウハウが必要であるため、弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。
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