会社経営者が死亡した事案で、相続人は妻、実子2名(相手方ら)および婚外子2名(依頼者)です。
依頼者から、妻および実子側から情報開示を受けられず、遺産の内容も不明であるが、法律上認められる財産を相続したいとのことで依頼を受けました。
生命保険金、死亡退職金を特別受益とみなした場合と概ね同金額での和解が成立した

- 性別:女性
- 依頼者情報:●争点別:特別受益 ●遺産額:3000万円以上 ●遺産の種類:不動産、預貯金、非上場株 ●相続人の関係:妻と子4人(内婚外子2名)
遺産の内容が不明であったため、徹底した遺産調査を行いました。
その結果、1億円程度の遺産が判明したのですが、他方で、遺産額を超える負債があることも判明しました。
大きな会社の経営者であったため、様々な相続対策を講じている可能性が高いと考え、死亡保険金と死亡退職金についても調査した結果、相手方らが合計で数億円を取得していたことが判明しました。
ただ、死亡保険金は遺産には該当せず、また、特段の事情がある場合を除き特別受益にも該当しないというのが最高裁の判例です。
また、死亡退職金も遺産には該当しないというのが一般的な考えであり、特別受益該当性については、最高裁の判例がありません。
交渉段階では、案の定、相手方らからは、
①死亡保険金と死亡退職金は遺産には該当せず、特別受益にも該当しない、
②遺産は1億円あるが、それを上回る負債があり、相手方らの方で負債は返済済みであるため、依頼者に渡す相続分はない、
とのことで、依頼者の希望とは大きくかけ離れた申し訳程度の解決金が提示されるのみでした。
依頼者の心情面に加え、本件では、死亡保険金については最高裁が示した例外基準に該当する可能性が高いと判断でき、
また、死亡退職金については、最高裁判例こそないものの、死亡保険金と類似性が認められ、同様の基準が適用される可能性も十分にあると判断し、
裁判手続に踏み切ることにしました。
相手方らが取得した死亡保険金及び死亡退職金を特別受益とみなした場合に依頼者が得られる相続分と概ね同金額の金銭を支払ってもらう内容での和解が成立しました。
本件では、依頼者・相手方らともに早期の紛争解決を希望したため、和解での解決となりましたが、
仮に最後まで争っていたならば、特に最高裁の判例がない死亡退職金の特別受益該当性については、新たな判断が示された可能性が十分にありました。
死亡保険金や死亡退職金が絡む相続案件の場合、そもそもこれらを特別受益に準じて相続の場面で考慮できるか否かの見通しを立てる必要がありますが、
最高裁判例が示した種々の要素を総合的に考慮する必要があるため、一般の方には困難と言わざるを得ません。
また、これらが絡む相続案件は交渉や調停で解決することも一般的には困難であり、裁判手続を利用せざるを得ないため、
その意味でも、知識と経験豊富な弁護士へ依頼すべき案件と言えるでしょう。
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- 依頼者情報:●争点別:遺留分 ●遺産額:3000万円以上 ●遺産の種類:不動産 ●相続人の関係:兄弟姉妹