葬式費用は誰が負担しなければならないのか?
相続・遺言Q&A葬儀費用の負担者については、法律の定めも、最高裁判所の裁判例もありませんが、実務上は、きちんと明細等を開示して説明すれば、他の相続人が葬儀費用を遺産から支出することについて異議を唱えることはあまりないと思われます。
ただ、他の相続人が異議を唱えた場合、葬儀費用を誰が負担すべきかについては、
①喪主が負担すべきとする説(=喪主負担説)
②相続人が負担すべきとする説(=相続人負担説)
③相続財産から支出すべきとする説(=相続財産負担説)
④慣習・条理によって定めるべきとする説
など、諸説あり、近時の裁判例を見ると、喪主負担説が有力と思われます。
執筆者プロフィール
- 累計1000件以上の相続相談に対応し、NHKの番組でも『遺産相続問題に詳しい弁護士』としてご紹介いただきました。相続に関する書籍も多数出版しています。難易度の高い相続案件も対応可能です。初回相談では、相談者の方のお話をじっくりお伺いし、相談者の方の立場に立って考え抜き、できるだけ簡単な言葉で分かりやすく説明することを心がけています。
その他のコラム
ずっと介護・看護をして面倒を見てきたなど,被相続人(亡くなった方)に貢献してきた相続人は、他の相続人よりも多く遺産を取得できるのですか?
相続・遺言Q&A他の相続人より遺産を多く取得できる場合があります。 [su_quote]被相続人の介護・看護を実際に行った相続人と、そうでない相続人との不公平を解消する制度として「寄与分」というものが法律で認められています(民法904条の2第1項)。[/su_quote] 寄与分が認められると、まずは遺産から寄与分(金銭に換算される)を差し引き、残った遺産を法定相続分に応じて分配することになるため、寄
「死んだらあげるから」という口約束は有効?
相続・遺言Q&A遺言は一定の方式に従って書面で作成する必要があるため、遺言としての効力は認められません。 しかしながら、死因贈与(=贈与者の死亡によって効力を生じる贈与)として効力が認められる可能性があります。死因贈与は契約であり、契約は口頭(=口約束)でも成立するためです。 問題は、口約束があったことを立証できるかです。 口約束をした時のやり取りが録音・録画されている場合、立証は容易であり、また、
葬式費用は誰が負担しなければならないのか?
相続・遺言Q&A葬儀費用の負担者については、法律の定めも、最高裁判所の裁判例もありませんが、実務上は、きちんと明細等を開示して説明すれば、他の相続人が葬儀費用を遺産から支出することについて異議を唱えることはあまりないと思われます。 ただ、他の相続人が異議を唱えた場合、葬儀費用を誰が負担すべきかについては、 ①喪主が負担すべきとする説(=喪主負担説) ②相続人が負担すべきとする説(
認知症の父が作成した公正証書遺言を無効にできますか?
相続・遺言Q&A無効にできる場合があります。 遺言が無効となる理由はいくつかありますが、代表的な理由は以下の3つです。 ① 遺言書が民法所定の方式に違反している場合 ② 遺言者に遺言能力がなかった場合 ③ 遺言書が偽造された場合 認知症の方が作成された遺言書の無効理由としては、まずは②の遺言能力の有無を検討することになりますが、遺言能力の有無の判断
相続人の1人が,被相続人の建物に無償で住んでいた場合,特別受益になりますか?(建物の無償使用と特別受益)
相続・遺言Q&A子が数人いて、そのうちの一人だけが親の所有する建物に無償で住んでいたような場合、 「親の家に無償で住んでいた者は、賃料相当額の利益を得ていたに等しいのだから、賃料相当額は特別受益とすべきだ。」 といった主張がなされることはよくあります。このような主張は認められるのでしょうか。 1. 同居の場合 単に被相続人と同居していただけという場合、特別受益には該当しません。 2. 別居の場合