ずっと介護・看護をして面倒を見てきたなど,被相続人(亡くなった方)に貢献してきた相続人は、他の相続人よりも多く遺産を取得できるのですか?
相続・遺言Q&A他の相続人より遺産を多く取得できる場合があります。
寄与分が認められると、まずは遺産から寄与分(金銭に換算される)を差し引き、残った遺産を法定相続分に応じて分配することになるため、寄与分のある相続人の取得分は、他の相続人と比べて、寄与分の分だけ多くなります。
ただ、実際には、そう簡単に介護・看護について寄与分が認められるわけではありません。
話し合いで、他の相続人があなたの寄与分を認めてくれれば問題ありませんが、他の相続人からすれば、あなたの寄与分を認める=自分の取得分が減る、という結果となるため、他の相続人があなたの寄与分を認めようとせず、相続トラブルになってしまうことも少なくありません。
寄与分については、要件に該当するのか,寄与分をどのように金銭に換算するのか、どのようにして寄与分を立証するかなど,相手方や裁判所に認めさせるためには専門知識と経験が必要になってきます。
そのため、寄与分の主張を行いたいとお考えの場合は、弁護士に相談することを強くお勧めいたします。
当事務所では,累計1000件以上の相続相談に対応し、寄与分を巡る相続紛争についても豊富な知識と経験があります。お悩みの方は,是非一度,当事務所にご相談ください。
執筆者プロフィール
- 累計1000件以上の相続相談に対応し、NHKの番組でも『遺産相続問題に詳しい弁護士』としてご紹介いただきました。相続に関する書籍も多数出版しています。難易度の高い相続案件も対応可能です。初回相談では、相談者の方のお話をじっくりお伺いし、相談者の方の立場に立って考え抜き、できるだけ簡単な言葉で分かりやすく説明することを心がけています。
その他のコラム
被相続人から仕送りや生活費の援助を受けていた相続人に特別受益が認められますか?
相続・遺言Q&A相続人が被相続人から仕送りや生活費の援助を受けていたとしても、常に特別受益に該当するわけではありません。 直系血族(例:親子)及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務を負担しています(民877)。そのため、被相続人から相続人に対する仕送りや生活費の援助が「扶養義務」の範囲内と評価される場合、「生計の資本としての贈与」とは認められず、特別受益には該当しません。 被相続人
香典は遺産にあたるか?
相続・遺言Q&A香典は、死者への弔意、遺族へのなぐさめ、葬儀費用など遺族の経済的負担の軽減などのために、喪主や遺族に対してなされる贈与であるため、遺産にはあたりません。 香典は、慣習上香典返しに充てられる部分を控除した残りの部分が葬儀費用に充てられますが、葬儀費用を支払ってもなお残余金が生じた場合は、喪主が取得すると解する説と、相続人が法定相続分に従い取得すると解する説に分かれています。
「死んだらあげるから」という口約束は有効?
相続・遺言Q&A遺言は一定の方式に従って書面で作成する必要があるため、遺言としての効力は認められません。 しかしながら、死因贈与(=贈与者の死亡によって効力を生じる贈与)として効力が認められる可能性があります。死因贈与は契約であり、契約は口頭(=口約束)でも成立するためです。 問題は、口約束があったことを立証できるかです。 口約束をした時のやり取りが録音・録画されている場合、立証は容易であり、また、
遺産分割調停を欠席すると何か不利なことはあるのでしょうか?
相続・遺言Q&A1 一部の調停期日を欠席する場合 お仕事や体調不良などの合理的な理由があれば、特に不利になることはありません。 ただし、必ず事前に裁判所へ連絡し、指示に従うようにしてください 2 全部の調停期日を欠席する場合 (1) 知らないうちに調停が成立してしまうという不利は生じません 遺産分割調停が成立するためには、相続人全員の参加が必要であり、欠席している相続人がいるにもかかわらず
葬式費用は誰が負担しなければならないのか?
相続・遺言Q&A葬儀費用の負担者については、法律の定めも、最高裁判所の裁判例もありませんが、実務上は、きちんと明細等を開示して説明すれば、他の相続人が葬儀費用を遺産から支出することについて異議を唱えることはあまりないと思われます。 ただ、他の相続人が異議を唱えた場合、葬儀費用を誰が負担すべきかについては、 ①喪主が負担すべきとする説(=喪主負担説) ②相続人が負担すべきとする説(