別居の母親について、介護認定を受けて(当初は要介護度2、最終的には要介護度5)以来、死亡までの4年間にわたり介護・看護を行ってきた相続人から、他の兄弟姉妹は一切母親の介護・看護を手伝わなかったにもかかわらず、取得分が同じというのでは到底納得できない、として依頼を受けました。調停では話し合いがつかず、最終的に審判で判断されることになりました。
介護・看護を行ったことについて580万円の寄与分が認められた事例

- 性別:女性
- 依頼者情報:●争点別:寄与分 ●遺産額:3000万円以上 ●遺産の種類:不動産、預貯金 ●相続人の関係:兄弟姉妹
母親が介護・看護を要する状態であったこと、母親が受けた介護保険サービスの内容・日数・期間、時期や要介護度の推移に応じて依頼者が具体的にどのような介護・看護を行ったのか(母親の標準的な1日のスケジュールを想定し、それぞれについてどのような介護・看護を行っていたのかをまとめた表を作成)などを主張するとともに、主張を裏付ける証拠を可能な限り収集し、整理の上で裁判所へ提出しました。
審判で依頼者に580万円の寄与分を認めるとの判断が示されました。
被相続人の介護・看護を行ってきたにもかかわらず、介護・看護を行っていない他の相続人と平等に法定相続分に応じた遺産しか取得できないというのは納得できない、とおっしゃる相談者の方は多数いらっしゃいます。
実際に行った介護・看護が寄与分として認められれば、法定相続分よりも多くの遺産を取得することができますが、裁判所に寄与分と認めてもらうハードルは相当高いというのが実際のところです。
あくまでも目安ですが、実務上、裁判所に介護・看護による貢献を寄与分として認めてもらうためには、
① 被相続人が要介護度2以上の状態にあったこと、
② 自宅での介護・看護であること、
③ 介護・看護を1年以上行っていたこと、
④ 対価を受け取っていないこと、
⑤ 介護・看護の内容が相当な負担を要するものであったこと、
などについて、詳細かつ具体的に整理して主張するとともに、当該主張を裏付ける証拠をできるだけ多く収集の上で提出することがポイントになります。
専門家でない一般の方がこれら一連の作業を行うのは難しいため、本気で、寄与分を裁判所に認めさせたいとお考えであれば、弁護士へ依頼されることを強くお勧めします。
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- 依頼者情報:●争点別:遺留分 ●遺産額:3000万円以上 ●遺産の種類:不動産 ●相続人の関係:兄弟姉妹