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相続人の1人が,被相続人の建物に無償で住んでいた場合,特別受益になりますか?(建物の無償使用と特別受益)

子が数人いて、そのうちの一人だけが親の所有する建物に無償で住んでいたような場合、

「親の家に無償で住んでいた者は、賃料相当額の利益を得ていたに等しいのだから、賃料相当額は特別受益とすべきだ。」

といった主張がなされることはよくあります。このような主張は認められるのでしょうか。

1. 同居の場合

単に被相続人と同居していただけという場合、特別受益には該当しません。

2. 別居の場合

被相続人の自宅とは別に被相続人が所有している建物やマンションに相続人の一人が無償で居住していた場合はどうでしょうか。

別居であっても、調停・審判の実務上は、特別受益には該当しないものとして処理されています。

理由

① 建物使用貸借は恩恵的な要素が強く、遺産の前渡しと評価できないのが通常

② 建物の使用貸借は弱い権利であるため、経済的価値はないに等しい

③ 収益物件であるいか否かを問わず、持戻し免除の意思表示があると認めるのが相当

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執筆者プロフィール

新井教正(アライノリマサ)
累計1000件以上の相続相談に対応し、NHKの番組でも『遺産相続問題に詳しい弁護士』としてご紹介いただきました。相続に関する書籍も多数出版しています。難易度の高い相続案件も対応可能です。初回相談では、相談者の方のお話をじっくりお伺いし、相談者の方の立場に立って考え抜き、できるだけ簡単な言葉で分かりやすく説明することを心がけています。

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